2023年2月にとても興味深いニュースが飛び込んできました。
岡山県浅口市にある「圓珠院(えんじゅいん)」
というお寺に古くから伝わる「人魚のミイラ」の実態を解明しようと、
科学的調査を行いその結果がわかったのです。
日本全国には人魚や龍、ツチノコといった
架空の生き物とされる生物のミイラや爪などが伝説とともに残されています。
そういった伝説の品を解明するといった試みは珍しいんじゃないでしょうか。
また現実的な結果になってしまうと
歴史のロマンがなくなるといった批判も聞こえてきそうです。
では、調査を行った結果はどうだったのでしょうか?
今回は調査方法や結果などをまとめてみました。
人魚のミイラと調査方法
「人魚のミイラ」は岡山県浅口市の圓珠院という
お寺に保管されているもので、
上半身が人の姿、下半身が鱗や魚のひれがあり、
まさに「人魚」の姿をしています。
人魚が納められた桐箱の中には、
1740年頃に高知県沖で捕獲されたと記録されています。
過去に行った調査で、ミイラの年代は確かに
1740年ごろのものだということがわかっています。
ミイラの姿は実にリアルで、
「本当に人魚のミイラではないか」と納得してしまうほどです。
だからこそ現在まで残されてきたのでしょう。
今回の調査は昨年2月からミイラを表面調査からX線撮影、
電子顕微鏡での調査、DNA分析、
放射性炭素年代測定などの科学的な解析調査を行いました。
その調査機関は1年にも及び、2023年2月7日に
調査結果をまとめた最終報告を行いました。
人魚のミイラの調査結果は?
ではその調査結果はどうだったのでしょうか?
結論から言うと、人魚のミイラは人の手によって作られたものでした。
まあそうだろうな・・とは思ってしまいますが、少し残念な気もしますね。
まず上半身は、X線のCT画像で調べたところ、
内部は紙や布、綿で作られており、
外部はフグ科の魚類の皮を貼り、
しっくいのようなもので形が整えられていました。
下半身はスズキ目ニベ科の魚類の皮で覆われていて、
魚類の尾の部分の骨格などが確認されました。
また鱗をもとに炭素年代測定した結果で、ミイラは1740年代のものでなく、
1800年代後半のものである可能性が高いといこともわかりました。
また蛍光X線分析では遺伝子などのDNAは検出されなかったそうです。
まとめ
今回の調査では「人魚のミイラ」は人の手によって
作られた「造形物」であると結論付けされました。
現実的な人は「そりゃそうだろ」と思うだろうし、
ロマン派の人は「夢がなくなる」と批判するかもしれません。
圓珠院の住職も結果を受けて
「ゆっくり眠っていたのに、
人の目にさらされて本物だ、偽物だと言われて申し訳ない」
と語っています。
しかしこういった調査を受けてくださった住職は
とても勇気のある方だと感じました。
伝説、伝統を重んじる方には
「結果はだいたいわかるから・・」
といった気持ちが強くなり、決して受け入れてもらえないでしょう。
今回の調査に協力した住職には
賞賛と賛辞を送ってあげたいです。
今回の結果は残念と言えば残念ですが、
今後また別の品で調べてみたら本当だった・・なんて結果があったらロマンがありますね。
また別の品で調査があるようでしたら、その結果を見守っていきたいですね。